「………図書室?」

「大事な話だし…ね」




扉を開けて、中に入る私と先輩。誰も使用してないから、聞かれたくない話の時には一番いい場所。




「…先輩…。どうして…」


「最終学歴が高卒の男はイヤ?」




イヤっていうか…、何で高卒でいいって言ってるのかが分からなくて…。



「俺、早く就職して里莉を幸せにしてやりたいんだ。最初は専門に行こうと思ってたけどね…」

「……………先輩」



握られた手は離れる事はなく、握り締められたまま。



「俺、礼子さんに直接、育てられてはないけど…育ててもらったって思ってる。だけどこれ以上、礼子さんに負担なんかかけられない。だから、独り立ちしたいんだ。だから、早く就職したい」




…でも、こんな進学校で就職口なんて…。





確かに、後々に就職をするんだけど…そんなに急いで仕事を探さなくても…いいんじゃないの?





「…………里莉は、俺の側にいたくない?」

「え…ぇと……。はぃ。いたいです」




改めて言うと、とんでもなく恥ずかしい…。



思わず、顔を下に逸らしてしまうけど、その先には握り締めた私と先輩の手…。



より一層、恥ずかしくなる私の耳にとんでもない言葉が飛び込んで来た。