先輩、何考えてるの?
「……だ~か~ら~! もう、決めたんだって!!」
「樋高ッ!! 待て!! まだ話は終わってないんだぞ!?」
凄い勢いで、進路指導室から出て来たのは、先輩と進路指導の小宮山先生。
二人とも険悪なムードで出て来て私の存在なんか、全く気付いてない…。
「俺は終わったね」
「よく考えてみろ樋高!? なぜ、就職したいんだ?」
「先生には関係ないだろ!?」
ど、どうして…就職…?
混乱していると、小宮山先生がようやく私の存在に気付いたみたい。
「櫻井!! お前からも言ってくれないか?」
「………里莉……」
振り返った先輩は、私と目が合い大きく見開いていた。
「…せ、先輩…何で……?」
苦しそうに私を見下ろす先輩は、質問に答えないままに立ち去った。
小宮山先生は深い溜め息を吐いて、先輩とは違う方へ歩いて行った。
2人の背中を見ていた私は、先輩を追いかけ始めた。
「…先輩!!」