「先輩…。帰りましょう…」
「………って言うか…。里莉、さっき謝ったよね?」
「……え? あ、はい…」
「……ペナルティ」
言われた瞬間、頭の血が一気に引いて行くのが分かった!
顔を上げて見たら案の定、私を意地悪な目で見ていた。
先輩から離れようとするけど、逃げられないようにガッチリと掴まっている…。
「…せ、先輩…。本気で、言ってるんですか…?」
「本気。だって、里莉は謝らなくてイイ事に、謝ったんだからペナルティは妥当だと思うよ?」
どんな妥当だー!? って、叫びたかったけど目の前にある先輩の顔を前にして、恥ずかしさの余り目線を下に落とした。
「顔を上げて…俺を見てよ…」
先輩の言われたとおりに、恐る恐るではあるけど顔を上げると、優しく笑う顔が視界イッパイになる。
「俺、ずっとバカにしてた。恋愛に走る奴の事を。…でも、今ならその気持ちが
分かる。……こんなにも、優しくなるんだ」
「……はい。相手を喜ばせたくなります」