「……お前の、兄貴と弟は……実はきょ、兄弟関係はないんだ…」
「…な、何言ってるんですか……? 兄さんと香輝が兄弟関係じゃなきゃ、どんな関係なんですかっ!?」
信じられる訳ないじゃない!! こんなの絶対にあり得ないもの!
兄さんと香輝は、血の繋がった兄弟だわ!! …じゃなきゃ、香輝に跡を継がせるなんて兄さんが言うはずないじゃない!
「…………兄弟関係じゃない…。…二人は、親子関係…だ……」
………………。
涙が溢れる事はなかった…だけど、悲しい気持ちが溢れた。
兄さんと香輝が……? な、なら…母親は…当然、香輝のお母さんだから…。
「兄貴と弟の母親は、戸籍上は義理の親子だ。だけど、年の差で言えば10歳も離れてなかったみたいだ」
…混乱する頭に、先輩の新しい情報が入ってくる。
聞きたくないって思ってても、耳に入ってくる声を塞ぐ事が出来ない。…だって、先輩が私を強く抱きしめるんだもの…。
「父親はたぶん、知らないまま死んだんだと思う」
「兄さんと香輝が…、親子関係……?」
未だに信じられない。兄さんが、香輝を溺愛してた事は知ってた…。