だが、何度か様子を見に行く内に、母親の様子がおかしい事に気付いた。
里莉を外に出さなくなり、しきりとお前を気にし出すようになった。
おかしいと思いもっと掘り下げて調べて見れば、お前の戸籍がない事が分かった。
産んだだろう病院にも、記録がない。
お前と母親を引き離そうと何度も思ったが、その度に父親の顔がちらついて出来なかった。
そんな様子を見ていた妻は、私が浮気をしておまけに隠し子までいると思っていたらしい。
知らなかった事とは言え、妻に何も言わなかった私が悪いと、今でも思っている。
悩み出した妻は、精神的に脆く病院へと行くと、手がつけられないほどだった。
私は、怖かったのかもしれない。
親友をなくし、相談する相手などなく、一人で抱え過ぎたのかもしれない。