苦笑する兄さんは、私と目を合わせて…フィと視線を逸らした。
「まず。最初から話した方がいいか?」
「…………は、い…」
息を飲み込み、溜め息を吐きかけたのを寸前で止めて、顔を少し兄さんを見てすぐに逸らしてしまう。
怖い。話を…真実を知るのが怖い。
「…その前に、親父の伝言」
兄さんと私の間を挟んだローテーブルに、一通の封筒が置かれた。
封筒には、お父さんの字で『里莉へ』と書かれていた。
少し手を震わせながら、私はその手紙を手に取り、ジッとお父さんの字を見つめた。
封筒を裏返して見れば、左下に『父より』と書かれている。
少し勇気を出して、封をユックリと破った。
……それだけで、だいぶ体力と気力を使いきった気がしたように思える。
中から取り出した手紙は少し重く感じてしまう。
5年以上もたっているから当たり前なんだけど、元は白かった紙が四方端、黄ばんでいるのが少し歴史を感じでしまった。