もう、離したくないと思う反面、離れた方がいいのでは…と考えちゃう。
少しだけ、寄り添うと先輩が私に寄り添って来た。
な、何…?
「…里莉の隣りは、暖かい…」
「………先輩の隣り、も暖かいです」
歩いて行くこの道中が、ずっと続けばどんなにいいかと思い続けた。
けど夢の終わりが、目の前に現れた。
「……………」
「…大丈夫。怖い事はない」
兄さんがいる目の前の部屋の扉を見つめながら、コクンと頷く。
入ろう!
いや、ちょっと待って!
そんな感情が、交互に出て来て中に入るのを躊躇してしまう。
「里莉…」
「ま、待って下さい!! もう、もう入ります。深呼吸を…深呼吸したら…」
何度もこの繰り返し。
深呼吸をし過ぎで、ちょっと…かなり苦しい、かも…。
ドアノブに手を置いたまま、深呼吸をしているとドアが前に動いた。