「お前の兄貴が話したい事があるって。あと、俺も話したい事があるんだ」
そう言って私は太一君の家から、先輩と一緒に出て兄さんの所へ歩いて行く。
…………………。
「…緊張する……」
手を繋いで夜道を歩く私と先輩。私の歩調に合わせてくれる先輩は、繋がった手を何度も確認する。そして、私の顔を見て…優しく笑う…。
思わず、頬が熱くなって顔を俯いてしまった。
「大丈夫だ。俺が、ずっと隣りにいる」
繋いだ手が強く握られ、私にホンの少しだけ勇気をくれる。
先輩は、どうしてこんなに強いの?
何で、そんなに私を求めてくれるの?
嬉しい反面、私に飽きたらどうしようって怖くなる。
「そう言えば、お前の兄貴の前で…『妊娠』とか言って、ゴメン。あれ、かなり無神経だった上に、里莉まで傷付けたよな?」
先輩の言葉にギクリと体を強張らせてしまった。