酷い時には突然ひっぱたかれたり、暴言を吐かれたりしたけど…一対一の喧嘩には動じる事はない。ただ相手が複数の時、話は違う。


「あら、櫻井さんいたのね。話があるのよ」

金色に近い色に脱色した女の子が、ようやく帰ろうとした私を呼び止めた。


「………何? 話なら、ここでも出来るけど」

そう言うと、汚いモノを見るように眉を潜めて私を見る。


ここ数日でこんな事が何度もあれば、いやおうなしに相手の考えが分かるってモノ。

だからと言って相手に同情する余地なし。

暴言、暴力をふるうほどの気力があるんだもの。好きな相手が他の人と付き合い出した事にショックを受けるのは分からないではない。



だけど、相手も自分と同じ気持ちだと勘違いしないでほしい。

「じゃあ、聞くけど…。どうやって、樋高先輩を落とした訳?」


「…それ聞いてどうしたい訳? 何言っても信用しないでしょ?」


「ッな!」


……どうやら図星のようだったみたい。