「そうだ。それと今から、風呂に入って来い。服も変える。手配はもうすんでる…行け」
一度も…一度も、私を見る事なく兄さんは指示するだけで、それ以上、何も言わなくなる。
私は、そんな兄さんに何も言えなくて、言われた通りにお風呂場へ向かった。
歩く度、ギシギシと筋肉のあちこちが引っ張られて、痛みが走る。
でも、この痛みを忘れたくない。
この痛みを忘れてしまったら、私は先輩をも忘れてしまうような気がして悲しかった。
脱衣所に辿り着く頃には、声を殺して涙を流していた。
先輩…先輩…、ごめんなさい…。もう、二度と会えないんです…。
零す涙が止めどもなく溢れ、私はタダひたすら泣き続けた。
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「長い風呂だったな」
「……すみません…」