何度も何度もキスされて、頭の芯が溶けていくような感じの中で言われて私の思考は現実に引き戻される。
ここで頷きたい気持ちと、頭の中で浮かんだ兄さんの顔を思い出して、何も言えなくなって俯くだけ。
「好きだよ…里莉…」
耳元で囁かれる先輩の低くて心地よい声。それに導かれるように私は白旗を上げた。
「…わ、私も…先輩が、好き…です」
そう言うなり、両頬を先輩の大きな手で挟まれて上に上げられたかと思うと…今まで、見た事のない、少し顔を赤らめて笑う先輩の顔がそこにはあった。
「…もう一度…」
「好き…好きです!」
止まらない想いが、ダムの決壊のように溢れて、先輩の制服の上着を強く握り締めた。
…誰かにすがりついて、無下に捨てられたら私は今度こそ終わりだと分かっていた。
けど、私は目の前で私を、私と言う人間を認めて求めてくれた先輩と離れたくなかった。
再び近付く先輩の顔。
私は何をされるか、何をしたらいいのか、自然と理解して目を閉じて…その時を待つ。