そのギャップが私には恐ろしくて、何もされない事がホンの少しだけ私の安心するものだった。
けど、殴られながら「お前なんか産むんじゃなかった!」って言われて傷つかない子供なんていないよ。
最終的には私の目の前で、自殺をしてしまった。私は訳の分からないまま、呆然と見つめて、たまたま近所のおばさんが発見してくれて保護された。
そのまま、本家に連絡されて兄さんがやって来たんだ。
まだ幼かった私でも分かった。疎ましそうに私を見下ろしていたのが印象的で怖かった。
櫻井家に引き取られて1年がたって、ようやく人並みの生活をおくれるようになった矢先に、香輝の母親が自殺した。
「里莉…」
「私、名前がなかったんです。生まれて兄さんに助けられるまで…。戸籍も…」