「可愛いな…里莉は…、やっぱり可愛い」



私は自分の耳を疑ったわよ!! 先輩が私に、そんな事言うなんて…有り得ないよッ!


霞む視界で、私は先輩の方を見た。


優しくて、蕩けそうな笑顔を私に見せている。

…どうして、どうしてそんな事するの。

好きになっちゃウ…。ううん…もっと、もっと好きになって引き返せない所まで行っちゃうよ。



そう思ったらポロって涙が零れて頬を伝う。

「………な~んで、泣くかな~…?」


男らしい眉が、八の字に下がって、肩も落として先輩は落ち込んでる。


…呼吸を繰り返す私は、先輩のその姿がちょっと可愛いって思っちゃった。

「……先輩?」

「こっち」


グイッて、今度は腕じゃなくて手を繋がれて、エレベーターの外に出た。



……ここ…どこ?


「オレん家」


キョロキョロと辺りを見回していたのが分かったんだ。