「んゃ…!! や、め!!」
ようやく視界が、ハッキリしてきた私の目の前にはヤケにボヤけた先輩が…。
よく見れば、エレベーターの中にいて上に上がっているみたいで…。
抱き締められているの? …どうりで苦しくて、痛くて…でも、暖かくて…。
先輩に抱き締められる理由がなくて、私は困惑しつつもキスを受け入れるしかなくて…。
けど、けど…息が出来なくて苦しい…。
先輩は一向に、私から離れる様子がなくて…って、いつ息吸ってるの?
「んん……」
も…限界だわ…。
殆ど自由の聞かない両手を先輩の腕の中で暴れるけど、あまり効果はないのは分かっている。
「…鼻で、息しろよ…」
ようやく離れた唇から、新しい空気を取り込もうと私は何度も何度も呼吸を繰り返した。