先輩の視線が鋭くて、思わずそれ以上何も言えなくなる。


「チッ……ッこいよ」



先輩が私に近付いたかと思うと、腕を掴まれてしまう。

「…ッ!!」


あまりの痛みに悲鳴を上げかけた私を無視して、先輩は歩き出す。


…けど、歩幅の違う先輩の早歩きに私はすぐに息が上がってしまう。


けど、そんな事を知ってか知らずか…、知ってたらかなり質の悪い人だと思う。


「…せ、先輩…どこ、行く…ですか……?」



喋る事もままならないぐらい、息が上がってる私だけど、相変わらず先輩はどこかに歩き続ける。



時折、足をもつらせながら…必死に付いて行くけど、最後にはひこずられる状態。



フト思い出せば、今まで先輩と一緒に歩いていた時は、私の歩きに会わせていてくれた事に…。



「…ちょっ…!! まっ…!!」


目の前の知らないマンションが、目に入ってきたかと思うと…。


そのマンションのエレベーターの前に立った。