兄さんが自分名義でアパートを借りてくれた。
家賃の事で揉めたけれど、それは私が払わせてくれるようになった。
だから、学校で内緒でバイトをしていた。
……私はそこまで兄さんに頼らなければ行けなかったんだろうか…と、疑問になってしまう。
「……兄さん…。ここまで、兄さんの手を煩わせていたなんて…」
新堂先生の写真を強く握り締めちゃた…。
写真に写った先生の顔が、少し歪んでしまった。
「悪いが、新堂以外は認めない。年は少し離れているが、お前に合う男はいない」
…少しって、15歳差で少しなの?
けど、私には選択する事が出来ない。
「……分かりました。今週末、新堂先生とお会いすればいいんですね?」
「そうだ。国際ターミナルホテルに5時に待ち合わせをしている」
言い渡される言葉がほとんどが右から左に受け流していた私の脳裏に浮かんだ、新堂先生を思い出す。
どちらかと言うと、兄さんと同系と言うか…冷たい感じ…。
香輝の時には優しい顔をしていた。
逆に私に、話しかけるなんて滅多になかった。
……先輩は、どう思うのかな…?
…………………。
そうだよね…、もう私の事なんてどうでもいいって思ってるよね。