「観覧車に乗りたいだなんて珍しいね?」
向かい合って座る観覧車の中。
そう問い掛けると緊張したように「話したくて」と言った。
「改まってなんでしょうか」
向き直って川杉を見つめる。
白い肌が夕焼けに照らされる。優しげな瞳が揺れた。
川杉は意を決したように口を開いて、
「…俺さ、適当に春に付き合ってとか色々言ってると思われてるみたいだけどさ」
「…うん」
「マジだからな?」
「……うん」
「分かってるか?…なんつーんだろうな。傍に居てあげたいっつーか。俺が誰よりもお前の傍に居たいっつーか…」
「………」
「離れて欲しくねぇんだ。お前って何考えてんのかあんま分かんねぇしほっといたら離れていきそうで怖ぇんだよ」