あたしの顔を見たソウタが一瞬肩を掴む手をギュッと強くした。



「…酔っ払い。帰んぞ。圭人に迷惑掛けんなよ」



切れ長の瞳がまた切なそうに揺れた。
その訳をあたしは知らない。何かを堪えるような瞳はあたしを困惑させる。



形の良い唇が毒を吐く。切なそうに揺れる瞳。何もかもバラバラなソウタ。



低い声でまた優しく“春”って呼んで欲しいだけなのに。



初めて乗るソウタのバイクの後ろ。
あの彼女は乗ったんだろうか。



帰りのバイクで、ずっと痛いくらいにソウタにしがみ付いてた。普段あんまり近付く事も出来ないから、バイクに乗ってる時ぐらいは良いだろうって考え。



何故か後悔しないようにって、ソウタに必死でしがみ付いた。