カランカラン、とお店のドアが開いた。
敢えてそこに視線を向けないように店内奥のトイレに向かった。
立ち上がってトイレに向かうあたしの背中を、「春、おい!帰んぞ!」ソウタの声が追ってくる。
ーーあぁ、だめ。泣きそう。
あたしって自惚れだ。メールが来た時点でソウタが来るって分かってたような気がしたんだよ。
ほんの少し酔いが回ってふらつく足で早足でトイレに向かう。気配が近付いてくるの分かってるのに。
「シカトすんじゃねぇぞ」
肩を掴まれて無理やり後ろを振り向かせられた。
「……っ、」
泣きそうなあたしのだらしない顔。見られたくなかったのに。