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「ねぇ、環方くん」


「何。」


いつもの場所でソファーに座る環方くん。

私が声をかけると、
イアホンを外して私を見た。


「環方くんって足遅いの?」


「フツーだよ。」


「フツー……?」


「50メートル6秒前半。」


「え、それって早いんじゃないの!?」


「別にフツーじゃね?よくわかんないけど。」


「じゃあ遅くないのになんで借り物競争?」


「めんどくさいから。」


「ちょっと!そういうやる気のない発言やめてよ!」



環方くんはやる気が無さそうにあくびをして、

また耳にイアホンをつけた。




「もう……」



せっかくなら一生懸命やった方が楽しいのに。