「……ひとつ、俺からもお願い。」



顔を少し上に傾け、

環方くんを見た。




私達以外誰もいない車両。




世界に、

私達以外いないみたい……。





「……名前で呼べよ。」




「名前……」




咲哉




咲哉くん……?





「…………

やだ。

恥ずかしい。」




環方くんの顔は急に不機嫌なものになった。