「それは、芝麻もスランプに陥ってるってことか?」


「いえ、スランプというよりは、伸びが止まった……という感じでしょうか?」



気の毒ではありますが……と、申し訳なさそうにつぶやく姫羅を見て、王輝が何か納得したように頷いた。



「つまり、芝麻唯が安出泉を妬んでる可能性も十分あるってことか」


「えぇ。
ですが、これは宇率来女にも言えることですわ。府林透の元恋人が安出泉ですから」



姫羅も、王輝に倣うように溜息を吐いた。



動き出してからまだ1日しか経っていないとは言え、実際に調べていけば、少しは情報をすっきりと整理できるようになると思っていた。



だが、実際はどうだ。


整理どころか、情報はごちゃごちゃと絡まっていくばかりである。



「他に調べておかないといけないのは、府林透か」


「府林透は、サッカー部……でしたよね?」



姫王輝の資料を思い出して、姫羅がつぶやく。



「あぁ。だから、ちゃんと手は打ってある」


「手?」



首を傾げた姫羅に、王輝は綺麗な笑みを見せながら口を開いた。