その日は、N大に願書を取りに行った。

何事も、勢いだって。

そう思ったんだ。


切なくなるのは分かってる。

心が切り裂かれそうに痛いのも、分かってる。


だけど、もうこれ以上はないって思ったんだ。

これ以上はない痛みに襲われているうちに、覚悟を決めてしまったほうがいい。



N大に願書を取りに行ったら、入試課に続く廊下は真っ暗だった。

省エネかもしれないけれど……。

それだけで、悲しい気持ちになってしまった。



そして、ロビーに飾ってあった学園祭の写真。

それを見て、私はまたげんなりした。


仮装パレード、なるものがあるらしい。

大学生って、何してるんだろう―――



私の望んでいた世界は、ここにはないって。

私ははっきりと知ってしまった。

だけど。

もらったばかりの願書を抱えて、私は消えてしまいそうな気持ちで、家まで帰ったんだ。