──涙がとまったのは、一時間程経ってから。


「お前、目ぇ真っ赤だぞ。」

「はい?」

「だから、目ぇ赤いつってんの。」

「ごめん。」

「はぁ?ふざけてんのか?」

「ちっ。ふざけてねぇよ。
 お前もそこらの奴らと同じかよ…。」

「はぁ?意味分かんねぇんだけど?」

「何でもない。名前は?」

「一ノ瀬。」

「一ノ瀬?よろしく。んじゃ。」

何だよ…。
他の奴らとは違うと思ったのに…。

期待はずれ。

さっきまでの優しさは何だったんだよ…。

スタスタとその場を後に帰ろうとした。