──体育館に行く途中。

「あの…宮本さん…」

「何?てか、アンタ誰?」

「ちょっといいかな?」

「早くしろ」

そう言ったが、何故か裏庭まで連れて行かれた。そして、連れて来られたと思えば、目の前には、誰だか分からない奴の顔がドアップにあり、後ろには、壁という状況に置かれていた。

「どいてくんない?邪魔。」

「話聞いてくれないのかなぁ?
 か・い・り・ちゃ・ん」

「はぁ?キモい。」

「僕はね?海って言うんだ。
 覚えてないかなぁ?」

「は?知らないけど?」

「まぁ、いーや!」

「じゃあどいて。」 

「いやぁ?無理かなぁ?」

「はぁ?」

「キスぐらいはしないと…ねぇ?」


コイツ、なんなの?
キモい…。
…違う。

怖い…。

頬に涙が伝ってるのが分かる。

「可愛いねぇ。強がりの桧莉ちゃんなのに。
 まぁい泣いても誰も助けてくれないよ?
 皆、入学式だからね!」

「っ…。」


誰か…。
助けて…。

「だ、れかぁ…。」

顔が近づいてくる。
止めてっ。

やめて!

そう叫ぼうとした時、

「俺の女に手ぇ出しやがって。
 お前、何なの?」

固まった。
キモい奴が、固まった。

そいつが、恐る恐る振り向いた。

「ひっ!」

そこには…。