「素直になれよ。桧莉。」


「な…によ。」


「なぁ、翔って呼べよ？」


急にそんなこと言われても呼べる訳ない。
しかも、心の中で自分と葛藤している時に。

これは鬼だ。


「なぁ、桧莉？」


「……何よ？」


「俺の名前翔だよ。」


「知ってる…し。」


「好きだよ。桧莉…桧莉は？」



どんどん甘くなっていく一ノ瀬翔にドキドキ…しなかったけど。
戸惑う。

しかも呼びすてって言わなかった？

何で私が…
私が好きなんて言わなきゃならないのよ！

アンタなんかには言ってやんぬいんだから！


絶対言わないんだから！