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…どれくらい経っただろうか。
泣きはらした目で辺りを見渡してみても、霧がかかってよく分からない。
でも、誰かがこっちに来るのは分かる。
でも、怖くなかった。
心の傷が深すぎて、とてもじゃないけど気が回らなかった。
「おい。」
目の前で止まって、声を掛けて来るものだから顔を上げた。
「っ……いちの、せ…しょう……」
「お前…!どうした、その目……。」
目を伏せて、立ち上がろうとすると
ギュッ
「心配したんだからな?」
抱きしめられて、耳元で囁かれると全身が熱くなる。
ビビっと何かを感じたように、体が熱くなる。