「あっ。翔…その子誰なの!?」

ふと思い出したかのように指を指してくる。


…今さらかよ。


と思ったのは口に出さずに、苦笑いを浮かべた。

「お前、知らないで手ぇ出そうとしてた訳?」


…確かに。
それはおかしい。

一ノ瀬翔の言葉に初めて同意出来たわ。


「だってぇ…。翔と仲良さそうだったからぁ…
妬いちゃった♪」

テヘペロと表現が出来るような表情をした。

こいつ、ぶりっ子だな。

けってい。
てか、キモいな。うん。

「お前、キモい。桧莉が引いてんだろ?」

「へーぇ…桧莉ちゃんって言うんだぁ!
 よろしくね♡か、い、り、ちゃ、ん♡♡」

ゾッとするような笑顔で話し掛けて来るものだから、寒気がしない訳がなかった。

「え。あ、はい…。」 

はぁ。

キモチワルイ。


てか、コイツ誰?

そう思ったのが分かったかのように、

「あっ!!!! 
 自己紹介まだだったね♪
 
 私、


 一ノ瀬 明日華(イチノセアスカ)って言いまぁす!

 よろしくね♡」

一ノ瀬…?
頭にハテナマークを出して、首を傾げていると、一ノ瀬翔が説明してくれた。

「俺ん家の婚約者だ。」