「---…と、まあ…こんなものかな。何か質問ある人いる?」


説明を終えた原田先輩が私たちに向かってなげかける。


「はい」


さっきまで気の抜けた様子でちゃんと聞いているのかも怪しいくらいだった柴崎くんが手を挙げた。


「どうぞ」


「放課後のカウンター当番なんですけど、部活が融通きかない場合はどうしたらいいですか」


部活…。私は部活に所属していないため、放課後のカウンター当番が部活に影響があることなど考えてもいなかった。


「…君は何部に所属してるんだ?」


「バスケ部です」


「そうか、バスケ部か」


杏ちゃんと部活の話をした時があって、その時にこの学校のバスケ部は厳しいらしく、終礼後10分後には最低でも部室にいなくてはいけないらしい。


「ふたりともそういう風に融通がきかない部活に所属しているというクラスはいるか?」


周りが、どうだ?とざわめきだす。


「…桐山、部活は?」


その時、初めて柴崎くんに名前を呼ばれ、しっかりと目が合った。一瞬ドキッと心臓が飛び跳ねたような気がした。


「あ、えっと、私は帰宅部だから……」


「そっか」


それからは目が合うことはなかった。


そして、ふたりして放課後のカウンター当番ができないというクラスはないということがわかった。