「原田くん!ありがとう。みなさん、彼でよろしいですか?」


先生のその呼びかけに対して、この状況でみんなが反対するわけもなく拍手が起こる。


「では、委員長は原田 奏汰くんにお願いします」


立候補した原田先輩という人はここからでははっきりと顔は見えないけれど、きれいな黒髪で少し見えた横顔から端正な顔立ちをしているように思えた。


委員長が決まると、不思議なくらいに副委員長はあっという間に決まった。


1年生も副委員長はできたけど、立候補したのは2年生の女子の先輩と男子の先輩。


ふたりとも声を揃えるように「奏汰がするなら」と言って立候補していた。


それは原田先輩に人望があるようだった。


「2役が決まったので、ここからの進行は委員長に任せます。原田くん、前に出てきて」


「はい」


原田先輩が前に出てきて、ようやく顔がはっきりと見えた。さっき思ったように、端正な顔をしていた。


思わずドキッとしてしまうくらいに…。


黒縁眼鏡を掛けているが、それがとても似合うクールな雰囲気が漂っている。


「図書委員は原則として昼休み終了10分前までと、放課後30分間カウンター当番を週替わりでクラスごとに行ってもらいます」


先生に渡された進行表を見ながら説明を始める原田先輩の声は、やっぱり大人びた声で容姿にとても合っていた。


先輩っていう言葉がぴったりで、素敵な人だなと思った。同級生にはない要素を兼ね備えている原田先輩にあっという間に憧れを抱く。