「みんな揃ったかな?」


私が来てから少しして1人の女の先生が図書室に入ってきた。


「司書教諭の野神です。さっそくですが、委員会を始めたいと思います」


柔らかそうな長い黒髪、おっとりとした顔つき。優しそうな先生だと思った。


「まず委員長と副委員長を決めます。委員長は2年生、副委員長は1、2年生からでお願いします。委員長、やりたい人はいますか?」


という先生の問いかけに答える者はいなかった。


委員長っていうのは、やっぱり誰もやりたがらないんだよね。こうやって、決まらずにどんどん時間だけが過ぎていくんだ。


先生は誰も手を挙げる気配のないこの状況に「やっぱりね」といった顔をしてから、次に副委員長の立候補を呼びかけた。


だけど、それは委員長と同様で…。


何も決まらないまま、ただ時間ばかりが過ぎるこの状況にもやもやとしながらも、私もまたみんなと同じように手を挙げはしなかった。


どうなるのかな、と思っているとひとつ前のテーブルの2年生がいる所から、すっと手が挙がった。



「委員長、やります」



その声は少し低く、大人びた声だった。