男はそのまま私の足をもち、その間に入るように広げる。


「長くて白くて綺麗な足だね」


そんなの知ってる。


言葉にしようとした声は音にならず、閉じようとした足にはきっと気がついてもいないだろう。



ふわふわした頭はもう考えることを放棄した、考えなければすぐに終わりがくるのだから。


消えそうな意識の中で男の笑う顔が見えた気がした。












「んっ、あったま痛い」


ゆっくりと目蓋を持ち上げると開きっぱなしのトイレのドアがうつった。


あぁ、おわったのか。


とくに思うこともなく立ち上がろうとすると数枚の紙が膝の上から落ちる。


しゃがみこんで、その数枚の紙を拾う

四万円、それが私の…この服や化粧の今の価値なんだろう。


価値が目に見えるのは悲しくも嬉しくもあった。
こんな簡単にお金が手に入るならまともに働くのだってちょっと馬鹿らしい。
別に死ぬわけではないし、減るものでもない。


皆だってしてるんでしょ?そこに愛があるかないかなんて、そんなに大事なことでもないんじゃないの。