腰のちょっと上まで伸ばした髪は金色で、目には青いカラコン、バサバサに重ねたつけまつげをつければ鏡の中の私は別人へと変わる。


胸元はわざと大胆にあけてブランド物の首飾り、ミニスカートから伸びた足の先にはピンヒール。



誰がどう見たって下品だろうし軽そうだけどそれでも、顔の作りを、胸の大きさを、足の長さを褒めてくれる人がいる。



約束した駅近くの公園に向かうと20代後半くらいに見える男の人が一人で立っていた。これまでも何度か会ったことのある男だ。いつもは最寄りの駅で待ち合わせてそのままホテルに直行するのだが、今日はなぜか公園ではダメかと持ちかけられたため人気のない近所の公園を提案したのだ。正直やることなんていっしょなんだから場所なんてどうでもよかった。




待たせてごめんね、と一言声をかけて初めから決まっていたかのように二人でトイレに向かう。


比較的新しい公園だからか、トイレの中は嫌悪感を抱くほど汚いわけではない。


「んぐっ」


何となく個室へと視線を向けた瞬間に後ろから布のようなもので口を塞がれた。


やばい、なんだか力が抜ける。


頭がふわふわする。


「大丈夫、依存性はないと思うからさ」


薬とか洒落になんないんだけど。


ふざけんなと思いつつも力の入らない体ではどうしようもなくトイレの個室に連れ込まれる。


便器の蓋は閉めたまんまその上に座らされ、目の前に男がしゃがみこんだ。