受け取った紙袋を見て、軽く握り締める。そして、くるりと振り返り結の顔を見ると、ぶわっと冷や汗が出る。
それを気づかれないように注意しながら、口を開いた。


「じゃあ、この後だけど……」


思わず上ずった声に思わずどきりとしたが、構ってられない。

先手必勝、というように続きを言おうとするが、結は全てを凌駕するように笑顔で言った。


「じゃあ、このまま杏ちゃんの家に行こっか。」

「ええ!?本当に言ってるの!?このまま、どこかのカフェでも行こうよ!」


必死の形相で、自分の家以外の選択肢をゴリ押ししたが、今回の結は意思が硬かった。


「杏ちゃん、明日は?」


そう言われてしまえばなんとも言えない。
まるで、王様ゲームのように王様の言うことは絶対だ。


「………結の誕生日です。」


負けたかのように、かのなく声で呟くが、結にはちゃんと聞こえていたようだ。
満足気な表情を見せると、歩みを進めて隣に並ぶ。


「行こうか」


さりげなく杏の手から荷物を持つと、先に杏の家の方向へと歩いていく。

いつもより多少強引な結の姿を見ながら
、ため息をつきつつ結の後を追った。