教室についた。
高橋優太がドアを開けた。
すると、F組のみんながこっちを見た。
私は、なんか恥ずかしくなって下を向いた。
「優太〜っ、同じクラスじゃんっ」
女の声…?
聞いたことある声…
私は顔を上げた。
…梨沙だ。
そういえば同じクラスだったんだっけ。
梨沙は、私をチラッと見てから、すぐに目をそらした。
梨沙のその行為に、少しだけ傷ついた。
なんでこうなっちゃうんだろ…
あれは中2のときだった。
梨沙と私は幼馴染み。
幼馴染みは、もう1人いたんだ。
名前は、翼。
かっこよくて、優しくて、勉強も、スポーツも出来る。
完璧な男だった。
私と梨沙と翼は、赤ちゃんのころからずっと一緒だった。
保育園も、小学校も、もちろん中学校も。
中1の時、梨沙の家にお泊りしていた私は、翼とメールをしていた。
梨沙も、友達とメールしてるみたいだった。
沈黙が続いた。
「ねえ」
その沈黙を破ったのは、梨沙だった。
「ん?どしたの?」
私は携帯を机に置いて、梨沙に返事をした。
「菜由は…好きな人とかいるの⁇」
私の好きな人は、翼だった。
ずっと前から好きだった。
でも、なんとなく、梨沙には言いたくなかった。
「いないよ」
私はそう答えた。
梨沙は、つまらなそうな顔をして
「ふぅ〜ん。梨沙はねぇ、いるよっ!!特別に、菜由にだけ教えてあげるっ!!梨沙の好きな人はねぇ〜…翼だよ!!」
え…
まじで…
私は動揺が隠せなかった。
「そ、そお…なんだあっ」