「……って。そうじゃなくて!」

急にわしゃわしゃしていた手に力が入る。

「お前さ、いくら成績がいいからって授業をさぼるな!」

相変わらず真面目だなぁ。
でもそういうところも好きだなって思う。

ふふっ、と笑みがこぼれた。

「さぼってたわけじゃないよ。さっきも言ったじゃん。散歩してたんだよ。」

私がそう言うと、健斗は更に手に力をこめた。

「痛い!頭がもげる!!」

ふざけて叫ぶけど、本当は全然痛くない。
加減してくれているんだよね。優しいなぁ。


「あのな、それを世間一般ではさぼるって言うんだよ。ていうかなんで急に散歩しようなんて思うんだよ。最近真面目だったのに。」