「琴音、どこ行ってたんだよ。」

廊下を歩いていると、ふいに呼び止められた。

「あ、健斗。ちょっと散歩してた。」

私がそう答えると、健斗は呆れたように、それでも相変わらずの優しい笑顔になった。

「やっと健斗って呼ぶのに慣れてきたな。」

健斗はわしゃわしゃと私の頭を撫でる。

「だって『付き合ってるのに、吉田君って呼ばれると距離を感じるからやめろ!』って泣きつかれたからね〜。」

私がにやにやすると、健斗は恥ずかしそうに顔を背けた。


なんだよ、もう。かわいすぎる。