「そういえば、灯の父親もずいぶんのんびりしたところがあったから、それに似たんだな。

それに、母親は口数が少なかった」





疾風が言うと、群雲が興味を引かれたように目を輝かせた。





「そうなのか。

やっぱり親子は似るんだな」




「そうさ、お前と俺もそっくりじゃないか」




「ええーっ、嫌だよ、母さんに似てるって言われたい!」





ぎゃあぎゃあと騒ぎながら疾風を殴りつけている群雲の横で、灯はひょいひょいと菓子を口に運んだ。




いつの間にやら自分の分まで食べられてしまっていることに気づき、群雲は「あっ!」と叫ぶ。





「この、卑怯者め! 返せよ!」




「いやだね」





灯はひょいと立ち上がり、逃げるように駆け出した。