そのとき、あることに気がついて、朝日宮は首を傾げた。





「…………?」





薄い梔子色の鳥子紙に書かれた黒い墨文字の間に、奇妙な痕のようなものを見つけたのだ。




薄っすらと茶色くなった線のようなものが、無数に見えた。





「………これは、まさか……」





朝日宮はがばっと立ち上がり、部屋の隅に置かれていた燈台の灯火に文をかざす。




すると、すぐに炙り出されて、文字が浮かび上がってきた。





「あ………っ」





朝日宮は震える手で、文字を追いはじめた。