悲痛な叫びに奥津宮は顔をしかめたが、心を動かされていないことは明らかだった。





「………お前には、分からんよ。

出世の望みを捨てた意気地なしの腰抜けたちに育てられたお前になど………」






奥津宮は唇を噛み、朝日宮をぎろりと睨んだ。





「ここでは、弱い者は、力のない者は、生き抜けないのだ。

死にたくなければ、どんな手を使ってでも、登りつめなければならないのだ。


お前も知っているだろう?

後継争いに負け、皇位から遠ざけられた皇子たちが、どのような目に遭ってきたのか………」





もちろん、朝日宮も知っていた。



居場所をなくし、人々からも忘れ去られて、哀れな最期を迎えた皇子。



臣下たちの口車に乗せられ、反逆の濡れ衣を着せられて、島流しに遭った皇子。



無実の罪で処刑された皇子。





「………それでも、実の兄の命を奪い、それを笑って話すなど………。

許されるはずがない。


あなたは最低の人間です」





朝日宮は吐き捨てるように言った。