(…………え……?)





朝日宮は唇を開き、呆然と立ちすくむ。




どく、どく、と脈打つ音が、耳の中でこだまして、うるさいほどだった。





奥津宮の言葉に、蔵人が慌てた様子で「宮さま」と声を上げた。





「このような場所で、そのような不用意なお言葉は………もしも誰かに聞かれていましたら、事ですぞ!」




「ははは、大丈夫だ、このあたりはいつも誰もいないじゃないか」





虚ろな表情でそれらを聞きながら、朝日宮の頭の中ではぐるぐると考えが巡っていた。





(………どういう、ことだ?


中納言どのの部下が、沙霧お兄さまを………殺し、た……?)





それを理解した瞬間。





「…………奥津お兄さま」





朝日宮は、無意識のうちに外へ足を踏み出していた。




驚いて目を瞠っている奥津宮の前に立ちはだかり、朝日宮は険しい面持ちで睨みつける。