二人のやりとりを聞きながら、朝日宮はきつく目を閉じた。





(………本当に、本当なのだ。


あのお優しいお兄さまは、もうおられないのだ………)





絶望に打ちひしがれていた朝日宮の耳に、突如、鼻で笑う声が聞こえた。





「………というのは、建前でな」





あとには、奥津宮の言葉が続く。





「本当は、黒鶴たちの仕業なんだよ」





それが耳に入った瞬間、朝日宮は大きく目を見開いた。





(………え? なんだって………?)





それに答えるかのように、奥津宮がくすくすと笑う。





「兄上は、全身を矢で射抜かれて、口から血を吐きながら死んだそうだよ。

まったく、惨いものだな」