沙霧が止める間もなく、泡雪はすっと腕を上げ、男たちを指差すようにした。




全身の力を振り絞り、指先に力を集める。




その人差し指が、ぽうっと紅い光を帯びるのに気づいて、男たちは色めき立った。



何か攻撃を仕掛けてこようとしているのを悟ったのだ。




「射て! 何か来るぞ!」




矢が放たれた瞬間、泡雪の髪がぶわりと広がった。



一斉に射かけられた矢は、すべて空中で軌道が変わり、泡雪と沙霧を避けるようにして雪に突き刺さった。



まるで二人の周りに結界が張られているかのようだった。




目を瞠る男たちに向けて、泡雪が手を伸ばす。



その指先から、細い光が放たれた。




純白の雪景色の中を、赤い光が突き抜ける。




その光が男たちに触れた瞬間、彼らは呻き声を上げて地に倒れ伏した。




泡雪が小さく息をつき、がくんと膝を折る。



そして、疲れきったように項垂れた。





辛うじて光を避けた黒鶴は、瞬時に強弓に矢をつがえ、泡雪に狙いをつける。




その光景を見た瞬間、沙霧は反射的に泡雪の前に躍り出ていた。