雪に降りて早足で歩き出したとき、沙霧の気配を感じ、泡雪はそちらへと急いだ。




「沙霧!」




背後から呼ばれて、沙霧は振り向いた。



血相を変えて駆け寄ってくる泡雪に目を丸くして、「どうしたんだい」と問う。




泡雪は先ほど見たものについて沙霧に伝えた。



その瞬間、沙霧の顔色がさっと青ざめた。




途端に泡雪は不安を覚える。



沙霧のそんな表情は、見たことがなかった。



何か、これまでとは違う不吉なことが起こる気がしてならない。




泡雪は眉根を寄せて沙霧の顔を窺う。




それに気づいているのかいないのか、沙霧は不審な者たちの身なりについて泡雪に問いただした。




それから、ふと表情を緩め、安心させるように泡雪の肩を叩く。