泡雪の言葉に沙霧は小さく微笑んだ。




「ありがとう、泡雪」




華奢な肩に手を回して抱きしめ、薄紅色の唇に口づけを落とす。



泡雪の瞳がゆったりと細くなり、嬉しげに微笑んだ。



泡雪は細い腕を沙霧の首に回し、ぎゅっと抱きつく。



その鼻先を沙霧の首筋に押し当てる仕草が、まるで小さな獣が母親に甘えるときのようで、可愛らしくて沙霧はくすくすと笑ってしまった。




「………なぜ笑う」




泡雪が怪訝な声音で問うと、沙霧は笑いながら首を振った。




「いや、すまない。あまりにも可愛らしいから」




泡雪は頬を赤らめて、照れ隠しのように、ふん、と鼻を鳴らした。




「………泡雪」



「なんだ」



「ずっと、いつまでも、共にいよう」



「………うん」



「わたしは、決して君から離れないと誓うよ」



「うん、私も」




穏やかな笑みを浮かべて、二人はいつまでも抱き合っていた。