泡雪は驚いたように目を見開いて、ぱっと身を起こした。





「………なぜ、そんなことを言う?」





もしかして、自分に名を与えたことを後悔しているのか。



自分のことを嫌いになってしまったのか。




不安に苛まれ、泡雪の顔も歪んだ。




それに気がつき、沙霧は慌てて起き上がり、泡雪を抱きしめる。





「すまない、違うんだ。

紛らわしい言い方をしてしまった」





沙霧が真剣な面持ちでそう言うのを聞いて、泡雪はほっとしたように緊張を緩めた。




沙霧は、泡雪という言葉がどんな意味を持つのかということ、そしてその名を選んでしまったことを後悔しているのだということを、泡雪に伝えた。




すると泡雪は、静かに首を横に振って、じっと沙霧を見つめながら答えた。






「………でも、私は、この名が好きだ。

だって、お前が、私のために、つけてくれた名だから」