「泡雪……何かあったのか?」




沙霧が労わるように訊ねると、泡雪は「なんでもない」と首を横に振った。




「ただ………すこし、疲れた」




「そうか。もう眠ろう」




「うん………」




いつになく元気のない泡雪の様子を気にかけながらも、沙霧は泡雪の手を引いて中に入った。



二人して寝床にもぐりこみ、夜具をすっぽりとはおる。




「………あたたかい」




泡雪が目を細めて呟いた。



沙霧はこくりと頷き、




「二人でいるとあたたかいものだな」




と微笑んだ。



泡雪は安心したように瞼を下ろし、深く息を吐く。




昨日からずっと気を張っていて、さすがに身体が疲れ切っていた。




すぐに微睡みはじめた泡雪を見つめながら、沙霧も静かな寝息を立てはじめた。