翌日、目覚めるとすぐに、泡雪は山中を探りに出た。



しかし、昨晩に引き続きひどい空模様で、耳も鼻も目も利かない。



日が暮れるまで歩き回ったものの、結局は不穏な気配の正体を確かめることはできなかった。




胸の奥のほうに、ちりちりと灼けるような不快感が消えない。




泡雪は顔を歪めたままのろのろと歩き、気がついたら沙霧の洞穴の前に立っていた。




「………沙霧」




小さく呼びかけると、すぐに沙霧が顔を出した。




「どうした、泡雪?

ずいぶんと顔色が悪いようだが」




「………今夜はここで寝たい」




「え? うん、それはいいが………本当に大丈夫か?」





心配そうに眉根を寄せる沙霧に近づき、泡雪はぎゅっと抱きついた。




沙霧は目を丸くしながらも、泡雪の細い身体を抱きしめ返す。



冷たく冷え切った身体だった。