「あぁ、小さいなぁ、かわいいなぁ」






赤子をうっとりと見つめて思いきり目尻を下げている沙霧を、玉梓と疾風は呆れたよう眺める。






「なんだか、父親の俺よりも、沙霧のほうが喜んでいるようだなぁ」





「ほんとねぇ」






5日前、とうとう玉梓が子を産んだのだ。




それ以来、沙霧はほとんど赤子に付きっきりでいる。




閉鎖的な宮中にいた沙霧にとって、生まれたばかりの赤子と触れ合うのは初めてのことだったのだ。






「沙霧、またここにいたのか」






少し呆れたような声で言いながら入ってきたのは泡雪だった。






「泡雪、君も見に来たのか」





「うん」






泡雪は小さく頷き、沙霧の隣に腰を下ろした。