沙霧は歩を進めて、少女の目の前にしゃがみこんだ。




少女は嫌そうに、微かに顔をしかめる。





しかし構わずに、沙霧はじっと少女の顔を覗き込んだ。





薄暗いところで見ると、少女の髪は白菫色に見える。




抜けるような肌の白さは、やはり印象の通りだった。





不思議な力を感じさせる薄い琥珀色の瞳は、臆することもなくじっと沙霧を見つめ返してくる。





沙霧を最も驚かせた薄着は、やはりそのままだった。




沙霧は何重にも着込んでいてもまだ冷気を感じるのに、少女は薄い単一枚で、まったく寒そうにしていない。







「…………君は、もしかして」






「……………?」






「…………いや」







心に浮かんだ疑惑を口に出すのは、なんとなく憚られた。






(…………しかし、聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥、と言うからな)







沙霧は意を決して、口を開いた。